弁護士ブログ

2012.07.18更新

こんにちは!池袋で弁護士をしております佐野直子と申します!

皆さんは「婚姻費用」という言葉を聞いたことがありますか?
どのような場合にどのくらい請求できるか知っていますか?
今日は「婚姻費用」について少し書きたいと思います。

「婚姻費用」とは,私のHP(http://www.sano-lawoffice.jp/rikon2/#a04)でもご紹介しているように,平たくいうと生活費のことをいいます。
具体的にいうと,衣食住の費用や医療費や交際費,保険料,娯楽費も含まれます。
夫婦で生活していれば通常発生するであろう費用については婚姻費用として支払請求することを認めましょうという考えです。

この婚姻費用については,
①夫婦が別居している場合に収入の少ない方から収入の多い方に対して支払いを請求する
という場合が典型ですが,
②夫婦が同居している場合でも,夫婦の一方が一切生活費を入れてくれない場合に支払を請求する
という場合もあります。

婚姻費用の算定は,民法上は「その資産,収入,その他一切の事情を考慮して・・分担する。」と定められていますが,
実際の算定方法としては,「算定表」(インターネットで検索するとすぐに見つけられます)に基づいて行われます。

婚姻費用の算定についてよく御相談をお受けするのが,
向こうが勝手に出て行ったのに自分が婚姻費用を払わなければならないなんて納得できない
働けるはずなのに働かずに自分に高額な婚姻費用を支払わせようとしているのではないか
といったものです。

前者については,ごもっともだと思うのですが,調停の場で主張してすんなり認められることはなかなかありません。
といいますのも,別居原因については夫婦の双方の主張が食い違うことが多いため,それぞれ主張立証を尽くさなければどちらの主張が正しいのか判断できず,調停では決められない事柄だからです。
このような場合は,支払義務者の側が調停委員から強い説得を受けることが予想されます。
どうしても支払額について合意がなされなければ審判に移行し,算定表にしたがった婚姻費用となる可能性が高いと言えましょう。
実際にこのような主張をする場合には,別居に至る経緯を調停委員に説明するとともに,相手方に対しても,そのような別居の経緯であるのだから算定表通りの婚姻費用ではなく減額された婚姻費用とするべきであることを粘り強く説得していくことになろうかと思います。
私はこのような場合は,別居原因のみならず,その他の減額事由を合わせて主張し,全体として婚姻費用が減額されるよう努力しています。
なお,仮に出て行った側に100%の帰責性があったとしても,ご夫婦にお子様がいらっしゃる場合は,お子様に責任はありませんので,お子様の養育に必要な金額については支払を免れることはありませんのでご注意ください。

後者については,婚姻費用を請求している側に潜在的稼働能力の有無を検討して,これがある場合には賃金センサス等により,実際に働いていれば得られたであろう収入を婚姻費用決定の根拠とすることができる場合があります。
潜在的稼働能力の有無は,年齢や学歴,就労歴,健康状態や子どもの年齢,健康状態などによって総合的に判断されます。
手のかかる年齢のお子様がいないご夫婦で,特に健康に問題がない場合には,主張する価値が十分あるのではないでしょうか。

ここにご説明したものはあくまで一般論ですので,
実際ご自身の場合はどのような展開が予想されるかはよくご事情をお聞きした上でないと判断できません。
ここに述べたもの以外にも増額事由,減額事由がある場合も十分考えられます。
この点が納得いかない!という事情がある場合は,ぜひ一度ご相談ください。




投稿者: 弁護士佐野直子

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