こんにちは!池袋の女性弁護士、佐野直子です!
今週に入って暖かい日が続き,今日の東京は夏日の予報ですね
スギ花粉に苦しむ方はもう少しの辛抱です
さて、今日は離婚時の財産分与について、夫婦の一方が婚姻期間中に当選した宝くじの当選金や競馬の配当金が含まれるか否かについてお話をしたいと思います。
皆さんは宝くじを買いますか?
今はいろいろな宝くじがあって、ただ購入するだけでなくて自分で数字を選んだり、サッカーの試合結果を予想したりするものなど、購入の仕方にこだわりのある方も少なくないのではないでしょうか。私も自分や家族の誕生日の数字でロト6を購入したことがあります
競馬については血統や馬場、過去のレース成績などから勝敗を予想したりしますよね。
このようにこだわりぬいて職人技を発揮した結果、見事宝くじに高額当選したり、競馬で万馬券を当てた場合、その当選金は夫婦の共有財産になるのでしょうか?
このことは、当選後に離婚することになってしまった場合、その当選金をどのように分配するかに大きく関わってきます。
職人技を発揮して当選を勝ち取った方からすると、自分の才覚あってこその当選金なのだから自分の特有財産だあるいは、2分の1で分けるのは納得がいかない
と言いたくなるかもしれません。
まず、婚姻中に取得した財産は第三者から相続・贈与などにより取得したものを除いて原則として夫婦の共有財産として清算の対象となるものと考えます。すなわち当選金の全額について特有財産であるとの主張は残念ながら通らないのです。
次に、当選金をどのような割合で分けるのか。
ご存知のとおり、財産分与には2分の1ルールというものがあり、夫婦の共有財産は夫婦が協力して作り上げたものであるから2分の1ずつ分けるのが原則です。
しかし、上記のルールに当てはまらない特段の事情がある場合、例えば、夫婦の一方が投資の専門知識を有していてその知識をもとに投資を成功させ大きな利益を得た場合などについては2分の1ルールが修正されます。
宝くじや競馬の当選金についてはどう判断されるでしょうか。
宝くじの当選金の分与割合について、東京高等裁判所平成29年3月2日決定は以下のように判断しています。
「当選金の購入資金は夫婦の協力によって得られた収入の一部から拠出されたものであるけれども、夫が自分で、その小遣いの一部を充てて宝くじの購入を続け、これによって偶々とはいえ当選して、当選金を取得し・・たことから、対象財産の資産形成に対する寄与は、妻より夫が大きかったといえ、分与割合を妻4:夫6とするのが相当である。」
つまり、夫がお小遣いで宝くじを買い続けたのだから妻より1割多く取得するのが相当だ、との判断がされました。
競馬の当選金についても割合は異なるものの過去に同様の判断がなされています。
このことから、宝くじや競馬の当選金については2分の1ルールが修正される可能性が大きいと考えて良さそうです。
訴訟では、当選金を獲得するまでの経緯を主張して自身の寄与の割合が大きかったことを主張立証していくことになるのだと思います。