弁護士ブログ

2016.07.08更新

こんにちは!池袋の女性弁護士,佐野直子です!

将来自分の遺産を相続する予定の者の中にどうしても相続させたくない者Xがいる場合はどのようにしたらよいでしょうか。

相続人については民法第五編第二章(886条~)に定めがあり,被相続人が死亡した場合は民法の定めに従って相続人が決定され,相続財産が分配されることとなります。そのため,何も対策を取らなければXは相続人としてあなたの財産を相続することになります。

遺言でXではない他の相続人に遺産の全てを相続させると記した場合であっても,Xに遺留分がある場合(Xが兄弟姉妹以外の相続人である場合)にはXから遺留分減殺請求を受けるおそれがあり,やはりXは相続人としてあなたの財産を相続します。

Xに対して遺産を一部でも相続させたくない場合には,Xについて「推定相続人廃除の審判」を申し立てることを検討することになります。
推定相続人の廃除については民法892条に定めがあり,
「遺留分を有する推定相続人が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。」とあります。また,民法893条では,推定相続人の廃除は遺言書に記載することでもできることが記されています。
ではどういった事情があれば,廃除が認められるのでしょうか。
過去の裁判例では,外国に住むX(養子)が年1回程度帰国しては被相続人から生活費を受領するのみで,長期に亘って療養生活をしていた被相続人の看病や身の回りの世話をせず,被相続人が離縁訴訟を提起すると連日のように被相続人に電話をかけて訴訟の取り下げを迫ったり,訴訟を遅延させたりするなどした事例で,Xに「著しい非行」があったとして排除を認めたものがあります(遺言による廃除)。
他には,X(長男)が約20年間に亘りギャンブル等のために借金を重ね,被相続人がこれを返済してきたこと,Xは自己破産後も改心せず被相続人に金の無心をしてきた事案で,Xの行為が「著しい非行」にあたるとして排除を認めたものがあります(遺言による廃除)。
他にも,離婚を決意した妻が夫であるXの廃除を申し立て,ほぼ同時期にXに対して離婚訴訟を提起した事案で,妻が末期がんで自宅療養中であったにもかかわらず,Xが自宅で暖房を使わせなかったりタバコを吸ったりして療養に極めて不適切な環境を改善しなかったことは「虐待」にあたり,妻がXに対して強い離婚意思を有していたことを合わせ考えると廃除を回避すべき特段の事情はないとして廃除を認めたものがあります(遺言による廃除)。

 なお,Xを相続人から廃除した場合であっても,後にXとの関係が改善したときはいつでも廃除を取り消すことが可能です。
 
相続人の廃除や遺言について,ご希望やご事情をお聞きした上でどのような準備を整えておくべきかアドバイスさせていただきたいと思いますclover

投稿者: 弁護士佐野直子

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