弁護士ブログ

2013.04.23更新

こんにちは!池袋の女性弁護士,佐野直子です!

今日は前々回に引き続き,年金分割のお話をしようと考えています。

これまでは「合意分割」についてお話をしてきました。
合意分割とは,夫婦間で分割の有無,割合を話し合って年金分割をする制度です。
話合いがうまくいかなくなった場合には調停・審判を申し立てて裁判所を交えて分割の有無,割合を決めることになります。

今日お話する「3号分割」は,第3号被保険者が年金分割を請求した場合には,自動的に2分の1の割合で分割するという制度です。
夫が会社員で,妻が専業主婦の夫婦の例でいうと,第3号被保険者である妻が,離婚に際して(離婚後でも可)夫に対して年金分割を請求する場合にこの3号分割が問題となります。
3号分割は,平成20年4月以降に夫婦であった期間(正確には被扶養配偶者であった期間)についてのみ行うことができます。

3号分割の方法は,分割を請求する側の最寄りの社会保険事務所に標準報酬改定請求書を提出するだけです。
(標準報酬改定請求書については,2013年2月26日(火)付ブログ どうやって分割するの? をご参照ください。)

合意分割は離婚後2年以内に行わなければならないという期間制限がありましたが,
3号分割にはこのような期間制限はありません。

では実際に,昭和60年1月に結婚して,平成22年1月に離婚した夫婦で,この間ずっと夫は会社員,妻は専業主婦だった場合について分割方法を考えてみましょう。

★平成24年1月以前に分割請求がなされている場合
 ①まず,夫婦の結婚期間のうち,3号分割が適用される期間すなわち平成20年4月から平成22年1月までの期間について3号
  分割を行います。
  →その結果,標準報酬の改定が行われ,これを基礎として按分割合の範囲も変更されます。
 ②3号分割の結果,改定された標準報酬を基礎として変更された按分割合の範囲内で,残りの期間すなわち昭和60年1月から
  平成20年4月までの期間について合意分割を行います。合意に達しない場合に審判となることはこれまで述べてきたとおりで
  す。

 ※1 婚姻期間中に3号分割の対象期間がある場合,年金分割のための情報通知書を請求すると,3号分割が行われたと仮定
    して,3号分割後の標準報酬を基礎とした按分割合の範囲が通知されます(年金分割のための情報通知書については
    2013年2月26日(火)付ブログ どうやって分割するの?をご参照ください)。
 ※2 調停・審判を申し立てる場合には,あらかじめご自身で3号分割を行ってからでなければならないということはありません。
    通常は,3号分割が適用される期間とそれ以前の期間と合わせて調停を申し立ててしまいます。

★平成24年1月以降に分割請求がなされている場合
 ①3号分割が適用される期間すなわち平成20年4月から平成22年1月までの期間について3号分割を請求します。
  3号分割は期間制限がありませんので,離婚後2年以上経過していても問題ありません。
 ②他方で,3号分割が適用されない残りの期間すなわち昭和60年1月から平成20年4月までの期間については,既に2年が経 過してしまっているためもう合意分割を請求することはできません。
 
このように見てみると,平成20年4月以前から結婚していたご夫婦の場合には,離婚後2年の期間制限に特に気を付ける必要がありそうです。

情報通知書が届いたけれど見方がわからない!といった方は多くいらっしゃいます。
一緒に通知書を見ながらご説明することも可能ですので,年金分割に関してわからないことがあればお気軽にご相談ください。

5月25日(土)の無料法律相談も引き続きご予約受付中です!

年金分割についてのお話は今回でひとまず終了したいと思います。

投稿者: 弁護士佐野直子

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